月経に伴う経済的負担は年間6828億円 そのうち労働損失が72%を占める フェムテック

　近年、世界的に注目されている「フェムテック」。Female（女性）と、Technology（テクノロジー）を掛け合わせた造語だ。
月経（生理）や更年期、妊娠出産など、女性特有の健康課題の改善・解決を目指す製品やサービスを指すとともに、女性の心身にまつわる固定観念や価値観を変えるムーブメントの意味も持つ。
あらためてフェムテックについておさらいし、フェムテック活用によって企業や社会がどのように価値を高められるのか考える。

【写真】ファムテック製品

[POINT1]　製品やサービス（女性自身で取り入れられるもの）
タブーから社会問題へ

　女性の健康課題は「恥ずかしいこと」などとタブー視されたり、「我慢するべきこと」と個人の問題にされたりしてきた。だが、フェムテックという言葉や製品の登場で、社会問題として可視化され、語られるようになってきた。
　そのことは女性自身を力づけてもいる。那覇市の会社員女性（38）は、フェムテックを知り「会社や国の制度などはすぐに変えられなくても、女性が自分の手で、働きやすい環境のために何かを変えられると思い心引かれた」と話す。
フェムテック製品を通じて、女性が自分の体と向き合い、ヘルスリテラシーを高めることが、社会の変化にもつながるのではと感じている。

上記商品は、世界初のフェムテック専門オンラインストアfermata　store（https://hellofermata.com/）で取り扱い中。

[POINT2]　女性の健康課題への見方を変える動き（企業・社会）
県内外で取り組みの芽

　健康経営やSDGs推進の観点から、フェムテックに目を向ける企業が出てきている。
フェムテック活用による、誰もが働きやすい環境づくりは、多様な人材を確保し職場のダイバーシティ（多様性）とインクルージョン（包括）を進め、活力を生み出す新しい視点だ。
また、企業が取り組むことで、女性の健康課題についての見方を変える社会へのメッセージにもなる。

■女性用トイレにナプキンBOX

　那覇市で建築業を営むタマキハウジングはオフィスの女性用トイレにナプキンBOXを設置。使った人が補充するルールで利用する側も気兼ねせずに済む。まだ女性が少ない業界で、小さな工夫が安心感、働きやすさにつながる

https://news.yahoo.co.jp/articles/50c06756e15c66682acd792beee7284ef678b770

■社内アンケートで意識向上

　ビルメンテナンスなどを手がける沖縄ダイケンは、女性特有の健康課題について社内アンケートを実施。同社で働く女性の現状把握と、男性職員に知ってもらうことも意図した。働きやすい職場づくりによる人材定着を視野に入れる

■生理休暇取得向上ねらう

　日本総合整美（本社・豊見城市）では、SDGsに沿った経営改革の観点から、担当者が生理休暇の名称変更を社内会議に提案予定。取得率向上を目指す

※上記県内事例はいずれも3月17日付本特集で紹介

■県外企業では…

・卵子凍結費用の補助　・男性の上司も対象に女性の健康セミナー開催
・女性社員が産業医にメールで気軽に相談できるシステム構築

■フェムテック活用でどう変わる？　
企業は生産性の向上、健康経営推進
人材確保（定着・育成・採用）
多様性ある職場環境の実現

社会は他者理解深め　生きやすく

　月経（生理）に伴う症状などによる社会経済的負担は年間6828億円に上り、そのうち労働損失（会社を休む、労働量・質の低下）が72％を占める。