日本最大の弱点は憲法 日米首脳会談、米英豪比との軍事協力は不可避 改憲しない限り敵には好都合 イランの脅威も

岸田文雄首相と、ジョー・バイデン大統領の日米首脳会談（１０日）は、中国や北朝鮮、ロシアの脅威に対して、
日米が結束して対抗する具体策を示した。そこは、ひとまず評価できる。

だが、敵側から見ると、実は、日本は「最大の弱点」を抱えている。憲法だ。

日米両国が発表した共同声明は、防衛装備品の共同生産や、極超音速兵器を迎撃するための新型ミサイルの共同開発、
在日米軍と自衛隊の連携促進などを列挙した。

米国と英国、オーストラリアは首脳会談に合わせて、３カ国の安全保障枠組み「オーカス（ＡＵＫＵＳ）」で、
日本と「人工知能（ＡＩ）やサイバー、量子コンピューターといった先端防衛技術分野での協力を検討する」と発表した。

さらに、日米豪とフィリピンの４カ国は７日、南シナ海で合同軍事演習を実施した。首脳会談に合わせたタイミングであり、
これを成果の１つに数えてもいい。

これらは中国、ロシア、北朝鮮を意識した展開だ。中国とロシアは「準同盟関係」にあり、
北朝鮮はロシアに武器弾薬を提供している。彼らは互いに協力して、自由民主主義勢力を脅かしている。

そうであれば、日米の同盟国や同志国が連携して対応するのは当然だ。
日本が「自分の国さえ平和であればいい」などと言っていたら、仲間から見捨てられるだけでなく、やがて悪の餌食になってしまう。
日本だけでは、彼らに対抗できないからだ。

従って、日本が米英豪比などと軍事協力を進めるのは正しい方向である。だが、日本には大きな壁がある。
憲法が障害になって、これ以上、前に進めないのだ。

例えば、米軍と統一司令部をつくって、日米の部隊を一体的に動かして台湾を守ろうとしても、できない。
他国防衛のために、日本の自衛隊は出動できず、米軍と一緒に動けないからだ。
この事情は、安倍晋三政権が２０１５年に憲法解釈を見直した後も、同じである。

日米首脳会談は現憲法下で可能な日米協力の「ギリギリの線」を狙った。
それはそれで結構だが、憲法が変わらない限り、日本は「仲間から白い目で見られる」と自覚しなければならない。
それは、直ちに敵に好都合なのだ。

岸田首相は１月の施政方針演説で、「自民党総裁の任期中に憲法改正を実現するため、最大限努力したい」と述べた。
だが、９月の任期終了までに改憲できるとは、誰も思っていないだろう。
首脳会談は「改憲こそが日本の最重要課題」と浮き彫りにした。これが最大の成果だ。

首脳会談で言及されなかった脅威もある。イランだ。

イランは、イスラム原理主義組織「ハマス」を支援して、イスラエルに対するテロを背後から支援した。
イランが支援するイエメンの民兵組織「フーシ派」は日本の貨物船も攻撃している。
にもかかわらず、日本は「原油欲しさ」にイランを友好国と位置付けている。

イランのエブラヒム・ライシ大統領は最近の演説で、「ガザの戦いは世界を支配する不正義の秩序を変える」と力説した。
イランはロシアや中国などと連携して、戦後の世界秩序を根本からひっくり返そうとしているのだ。

いずれ、日本は対イラン認識の甘さを問われるだろう。

はせがわ・ゆきひろ
2024.4/13 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240413-MPUG7L7XNJKETFLXZRVE5JINCU/